「さらば愛しき大地」の解説
農業と工業が、新旧渾然一体となってぶつかり合う茨城県鹿島地方を舞台に、ある農家の崩壊を描く人間ドラマ。脚本・監督は「十九歳の地図」の柳町光男、撮影は「三里塚 辺田部落」の田村正毅がそれぞれ担当。
茨城県鹿島地方、田園地帯に押し寄せる工場群、その一角に小さな農家、山沢家がある。次男の明彦は東京で働いており、一家を支えるのは長男の幸雄だ。一家に不幸が突然襲ってきた。幸雄の最愛の息子二人が溺死してしまったのだ。孫を失ったイネと幸一郎の落胆、身重の妻、文江に当る幸雄。幸雄は背中に観音像と子供の戒名を刺青し供養するのだが、そんな一人よがりの贖罪にいたたまれないのは文江だ。そんな折、幸雄は順子という、かつて明彦の恋人だった女をダンプに乗せてやる。順子は、昼間は工場で働き、夜は母の呑み屋を手伝っていた。幸雄の刺青に打たれた順子と幸雄の同棲生活が始まった。–四年後、二人の間には娘まり子も生まれ、依然として孝雄の二重生活は続いていた。
映画「さらば愛しき大地」
監督:柳町光男
出演:根津甚八 秋吉久美子 矢吹二朗 山口美也子 蟹江敬三 中島葵 日高澄子 奥村公延 草薙幸二郎 佐々木すみ江 松山政路 猪俣光世 白川和子 岡本麗 志方亜紀子 石山雄大 港雄一 粟津號 三重街恒二